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住宅ローン減税のお話

住宅ローン減税

本年10月の消費税導入に伴い、課税負担の軽減策として「住宅ローン減税」の変更が行われました。

今回は変更内容を含め、おさらいをしたいと思います。

(1)適用条件

①新築の場合(マンション、1戸建て)

・借入した人の合計所得金額が3,000万円以下であること・登記簿に記載されている床面積が50平米以上あること

・床面積の1/2以上が自身の居住用であること

・ローンの返済期間が10年以上あること

・新築または取得日から6カ月以内に入居していること

②中古の場合

・上記①の適用条件のほか、下記の条件を満たすこと

・マンションなどの耐火建築物は、取得の時点で築25年以内であること

・耐火建築物以外は、取得の時点で築20年以内であること、または一定の耐震基準をクリアしていること

・生計を一にする親族などからの購入でないこと

・贈与された住宅でないこと

③増築・リフォームの場合

・上記①の適用条件のほか、下記の条件を満たすこと

・自分で所有し、居住する住宅のリフォームであること・工事費用が100万円を超えていること

・店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上であること

・一定の省エネリフォーム、バリアフリーリフォーム、耐震リフォーム、または大規模な間取り変更や修繕などであること

・工事費用が100万円を超えていること

・店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上であること

 

(2)住宅ローン控除(減税)の対象となるローンは?

①民間の金融機関や独立行政法人住宅引用支援機構、地方公共団体、公務員共済組合などの一定の団体や、住宅資金の長期貸付期間を行う法人、勤務先から借り入れたものであること。

②給料所得者が事業主団体から借り入れた場合は、金利が年0.2%以上であること(※役員が会社から借り入れた資金などの場合は、住宅ローン控除対象外)。

③給料所得者が事業主団体から利子の補助を受ける場合は、利子補給額を控除した後の利息が年0.2%以上であること。

④親戚などからの個人的な借入金でないこと。

⑤中古住宅を購入した場合は、前の所有者から引き継いだ債務ではないこと。

※住宅ローン控除の対象ローンは、上記の条件を満たした、長期固定金利住宅ローン「フラット35」や、民間金融機関や財形住宅融資、地方自治体の融資、年利0.2%以上の勤務先の融資が対象となります。また、支払時期が不明なものは対象外となります。

 

(3)住宅ローン控除(減税)の計算方法

①年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合

年末残高3,000万円×1%=30万円<最大控除額40万円 ⇒ 住宅ローン控除可能額30万円

(事例)

例えば、年末時のローン残高が3,000万円の場合は、控除率1%ですので、30万円が控除可能額となります。

住民税

所得税

本来納めるべき税額

180,000円

80,000円

控除可能額

300,000円

最終税額 43,500円 減税▲136,500円

減税▲80,000円

・控除可能額は30万円ですが、納めた税金(26万円)より多くは戻りません。

・住民税控除は136,500円が上限です。

・結果、還付税額は215,000円となります。

(4)住宅ローン控除(減税)を受けるための手続き

・初回

入居した年の翌年1月1日以降、居住地を管轄している税務署へ確定申告の「還付申告」を行います。必要書類は直接税務署に提出する以外にも、郵送での提出や、国税庁のサイト上で申告書を作成して送信する方法もあります。

・2年目以降

会社員の場合は年末調整で手続きができ、自営業の場合はまた同じ書類へ記載をし、期日中に税務署に提出する必要があります。年末調整の場合は、給与所得者の「住宅借入金等特別控除申告書」や、住宅ローンの「年末残高証明書」を添付する必要があります。

・住宅ローン控除等の確定申告に必要な書類(例)

1. 確定申告書A(第一表と第二表) 税務署
2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署
3. 勤務先の源泉徴収票(会社員などの場合) 勤務先
4. マイナンバーの本人確認書類
5. 金融機関等からの住宅ローンの「借入金残高証明書」 金融機関
6. 建物・土地の不動産売買契約書又は工事請負契約書のコピー 不動産会社
7. 建物・土地の登記事項証明書 法務局
8. その他、認定長期優良住宅の特例などを利用する場合の書類のコピー 不動産会社

 

(5)その他

・住宅ローン控除は契約者が居住していることが条件となっていますが、もし海外勤務となってしまった場合や、転勤などのやむを得ない事情の場合でも、住宅ローン控除を受け取ることができます。

・住宅を購入した後で、海外勤務などにより単身赴任することになった場合や、海外勤務中に日本の住宅を購入し、家族が住むケースなどがその対象となりますが、確定申告をすることで、控除額を受けとることが可能になりました。

・平成28年4月1日以後に住宅の取得等をした方が対象となります。

(6)平成 31 年度税制改正

住宅ローン控除期間が3年延長されます。

適用要件:令和元年(2019年)10月1日から令和2年(2020年)12月31日までの間に居住の用に供した場合に適用します。

  • 消費税率 10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を3年延長(改正前:10 年間⇒改正後:13 年間)します。
  • 11 年目以降の3年間については、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定します。

具体的には、各年において、以下のいずれか少ない金額を税額控除します。

① 建物購入価格の 2/3%

② 住宅ローン年末残高の1%

⇒3年間で消費税増税分にあたる「建物購入価格の2%(2/3%×3年)」の範囲で減税を行います。

ただし、ローン残高が少ない場合は、これまでどおり住宅ローン年末残高に応じて減税します。

(注1)建物購入価格、住宅ローン年末残高の控除対象限度額は一般住宅の場合 4,000 万円、認定住宅の場合 5,000 万円(改正前の制度と同水準)。

(注2)入居 11 ~ 13 年目についても、所得税額から控除しきれない額は、改正前の制度と同じ控除限度額(所得税の課税総所得金額等の7%(最高 13.65 万円))の範囲で個人住民税額から控除。なお、個人住民税の減収額は、全額国費で補てん。

(注3)入居1~ 10 年目は改正前の制度と同様の税額控除。

【拡充のイメージ(一般住宅の場合)】

① 改正前の住宅ローン控除

(当初10年間)

ローン残高(最大 4,000 万円)の 1% を控除(最大 40 万円))

 

最大

40 40 40 40 40 40 40 40 40 40

α

α

α

年目 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

13

 

② 改正後は控除期間を 3 年延長

消費税率2% 引上げの負担に着目し、

建物購入価格の2%(2/3% ×3年間)の範囲で減税