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瑕疵担保(契約不適合責任)免除条項の有効性

1、免責条項の有効性

改正民法では「瑕疵担保責任」から、「契約不適合責任」という表現に変更されます。これに伴い、現在まで不動産売買契約書に規定されていた「瑕疵担保免責」条項の有効性はどうなるのでしょうか?

⇒【原則有効です】

今回の民法改正の内容は基本的に「任意規定」(対:強行規定)であり、契約不適合責任の規定を適用したくない場合は、売買契約書において、民法とは別の記載をすることにより、「契約不適合責任」の適用を排除することが可能になります。

売買契約書にその規定についての記載がない場合は民法の条文を適用しますが、契約書に記載があればそれが優先されます。

【無効のケース】

現行同様、宅建業者が自ら売主となる宅地・建物の売買(宅建業法40条が適用される売買)、又は消費者契約法が適用される取引については瑕疵担保責任の免責の特約は無効です(一部除外規定あり)。

 

改正民法により、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更されても、宅建業法・消費者契約法との関係は継続します。結果、改正民法下でも消費者契約法と宅建業法40条が適用されない宅地建物の売買契約では、契約不適合責任を全部免責する旨の特約を設けることは可能と思料されます。

区分

売買契約書への免責規定設定

消費者売主・買主

宅建業者以外の事業者が売主、或いは買主

宅建業者が売主

不可

※不具合の有無等の物件情報が明確にされていないにも拘らず、売主が契約不適合責任を負わない場合、一般的には物件価格に買主のリスクが反映(値段が下がる)されます。

 

2、消費者買主の保護

消費者買主の保護を目的として、宅建業法の一部を改正する法律案が可決成立(平成28年5月27日)し、宅建業者に対して以下が義務付けされました。

売買契約書に免責条項が設けられたとしても、これらの実施により、適切な情報開示の有無が適正に取引価格に反映されるよう求められています。

(1)媒介契約の締結時に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に公布すること。

(2)買主などに対して、建物状況調査の結果の概要などを重要事項として説明すること。

(3)売買契約の成立時に、建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面を交付すること。

前述の解釈は、あくまで現行法との比較等によるものであり、施行後の解釈が分かれる可能性を否定できません。

従いまして、売買契約締結の際は、物件状況確認はもとより、売買契約書及び付属説明書等の内容を十分理解したうえで臨んで頂きたいと存じます。

売却後に、予想もしない額の損害賠償請求等を受けない為にも、経験値や信頼度の高い業者選択を行う事も予防策の一つかと思料いたします。

以上