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期待耐用年数

1、法定耐用年数とは

税務上設けられたもので、減価償却資産の耐用年数は、木造モルタル造り住宅で20年。鉄骨鉄筋コンクリート造り住宅では47年となっております。

これだけの期間しか耐久性は無いのでしょうか。いいえ、決してそうではありません。

償却資産の耐用年数は、各償却資産毎に設けられていますが、あくまで税務上設けられた期間であり、実際の使用可能年数とは当然に相違します。

実際の使用可能年数は、取得後の使用や管理の状況によって大きく変動します。

下記の通り、構造等毎に大まかな研究試算値が示されていますが、実際には個別実態調査による判断が重要になります。

この評価(制度)は、今後充足浸透を期待されているものであり、現在の売買市場において常として利用されているものではありません。しかしながら、今後さらに研究・認知等が拡大していくものと思料いたします。

 

2、期待耐用年数とは

建物が通常想定される自然条件(※)で標準的な維持管理がなされた場合に通常必要とされる使用価値を維持し得る期間」(平成25年8月 国土交通省土地・建設産業局不動産業課 住宅局住宅政策課)

(※)「異常気象は起きず、平年時の気象が継続しているなど予測の範囲内で自然の影響があること」を指す。

実態調査インスペクター等による実地調査等により、標準的な維持管理がなされたかどうか、実際の物件の状態はどうか等の確認に基づき算定された年数を算定し、これ輪を価格に反映すべきとの考え方が着目されています。

 

3、参考データ

(1)木造

滅失データより算出の64年(2011年調査)や、長期優良住宅認定物件では100年超の試算もあります。

(2)RC造(コンクリート)の寿命に係る既往の研究例

① 鉄筋コンクリート部材の損傷程度の実態調査

実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上あると認められた。 (篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川宗夫・三浦勇雄(1974)「約50年を経過した鉄筋コンクリート造の調査」日本建築学会学術講演梗概集)

② 鉄筋コンクリート造建物の減耗度調査に基づく物理的寿命の推定

実際の建物の減耗度調査のうえ、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリ-ト造建物の物理的寿命を117年と推定。

(飯塚裕(1979)「建築の維持管理」鹿島出版会)

③ 構造体としての鉄筋コンクリートの効用持続年数

鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は、鉄筋を被覆するコンクリートの中性化速度から算定し中性化が終わったときをもって効用持続年数が尽きるものと考える。鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる。)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。

(大蔵省主税局(1951)「固定資産の耐用年数の算定方式」)

④ 鉄筋コンクリート造の住宅・事務所等の平均寿命

固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)を推計した結果(2011年調査)、RC系住宅は68年、RC系事務所は56年。

(小松幸夫(2013)「建物の平均寿命実態調査」)

以上