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【特定空き家】とは?

「特定空家」とは

 「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。

1、特定空家等に指定される条件
 以下のような状態が、「特定空家」に指定される一般的条件とされています

(1)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

(2)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

(3)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

(4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

2、特定空家等に指定された場合の影響

(1)「特定空家」に指定されると

 特定空家に指定された後に自治体から改善の勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の優遇措置(課税標準額の圧縮)が適用されず、更地の状態と同等課税となってしまいます。
 現在、「住宅用地の特例」により、土地の固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3へ減額されています。特定空家等に指定されると、この減免措置が無くなるため、土地の固定資産税・都市計画税が大幅に上がってしまいます。

(2)特定空家等に指定された場合の固定資産税等の試算(長崎市)

①基準
ア、固定資産税…税額=課税標準額×1.4%
 ※但し、住宅用地の場合、下記の通り課税標準額圧縮の特例があります
 ・小規模住宅用地(200㎡以内の部分)= 課税標準額×1/6
 ・一般住宅用地 (200㎡超過の部分)= 課税標準額×1/3
イ、都市計画税…税額=課税標準額×0.3%
 ※固定資産税同様、住宅用地の場合、課税標準額圧縮の特例があります
 ・小規模住宅用地(200㎡以内の部分)= 課税標準額×1/3
 ・一般住宅用地 (200㎡超過の部分)= 課税標準額×2/3

②試算
 では、家屋を解体した場合、或いは空き家が特定空家等に指定された場合、固定資産税と都市計画税はどう変わるのか試算してみました。
(事例)
 土地:面積180㎡、課税標準額1,100万円、建物:面積120㎡、課税標準額100万円

【現在の固定資産税額】53,665円
 ①固定資産税 39,666円
  土地(1,100万円×1/6)×1.4%=25,666円
  建物 100万円×1.4%=14,000円
 ②都市計画税 13,999円
  土地(1,100万円×1/3)×0.3%=10,999円
  建物 100万円×0.3%=3,000円

【解体後の固定資産税】187,000円
 ①固定資産税 
  土地 1,100万円×1.4%=154,000円
 ②都市計画税 
  土地 1,100万円×0.3%=33,000円
 ※特定空き家に指定された場合、建物部分17,000(14,000+3,000)円が加算されます。

【税額の差】133,335円
 結果、解体した場合の固定資産税は53,665円から187,000円へと133,335円増加します。
 よく6倍になると言われますが、小規模住宅用地特例の1/6から解釈したものであると思われます。試算のとおり、本件事例の場合、約3.5倍となりました。
 また、特定空き家に指定された場合の固定資産税額は、上記の187,000円に家屋への固定資産税17,000円が加算され、204,000円(同3.8倍)となり、現在と比較し150,335円増加します。

 住んでいない空家等の管理不足は、資産価値の下落に大きく影響します。適時適切な管理を行いましょう。
 一方、著しく劣化損傷した家屋は、新法により管理責任が強く求められるようになりました。不測の事態防止、又は資産の有効活用を目的とした解体の実施等も選択肢の一つとなる場合があるかもしれません。