【火災保険】空き家に必要?
平成29年の長崎市消防局管内での火災事故発生状況は以下のとおりです。
発生件数 104件(建物67、林野2、車両4、その他31)
焼損棟数 90棟(全焼15、半焼5、部分焼18、ぼや52)
り災世帯 61世帯(全損12、半損3、少損46)
損 害 額 226百万円(建物205、収容物18、その他3)
発生原因 1位たき火、放火、電気器具・配線が各14件、4位たばこ12件、5位こんろ11件等
これらのとおり、現実に火災は発生し、その対象が自身でない確率がゼロではありません。
1、火災保険加入の必要性
空き家は、居住建物に比して管理が適切に行われ難いため、①不法侵入による火の不始末から起こる火災等、②台風などによる建物の損壊や定着物の落下、③放火の発見が遅れたことによる被害の拡大などのリスクがあります。従いまして、建物の価値の有無にかかわらず、火災保険に加入する必要があると言えます。
2、火災保険の種類と保険料は?
火災保険は、保険の目的となる建物の所在地や建物構造、用途によって、加入する保険の種類と保険料が異なります。また、住居専用として使用する建物や、店舗や事務所に利用する場合にも加入保険が相違します。一般的に、補償内容が同じであれば、保険料は住宅物件より一般物件の方が高くなります。
火災保険に加入しようとした場合、空き家は使用状況や使用頻度によって一般的に以下の3つに分類されます。専門住宅・併用住宅・一般物件の順で保険料が高くなります。
(1)専門住宅
年末年始やお盆の時期といった帰省の際に使っている場合は一般的に「専門住宅」に分類されます。定期的に使用していない場合でも、家電道具がそろっていて人がすぐに住める状況なら専用住宅に分類される場合もあります。
(2)併用住宅
家としての機能は果たしているものの、家具家電がそろっておらず、人がすぐに住めない場合は一般的に「併用住宅」と分類されます。
(3)一般物件
専用住宅・併用住宅に該当しない建物全てが対象となります。事務所ビルや店舗をはじめ、キッチンやお風呂、外壁がない建物等の場合、「一般物件」に分類されます。
※ 上記は一般的分類であり、加入保険会社各々に各種基準がありますので十分確認願います。
3、留意点
(1)建物が廃屋の状況等、管理状態が著しく悪い場合は加入出来ない場合があります。
(2)地震保険は、住宅物件扱いとなる場合には火災保険にセット加入できますが、一般物件扱いの場合には加入できません。
(3)特約の検討
空き家の所有者は、それを管理する者として第三者に対する賠償責任が発生しますので、以下のご検討も有益と考えます。
①住宅物件扱いの場合には、個人賠償責任保険(個人賠償責任補償特約も可)の付加。
②一般物件扱いの場合には、施設賠償責任保険(建物管理賠償責任補償特約も可)の付加。
4、空き家の管理
平成27年5月26日、空き家対策特別措置法が完全施行され、また「一定の要件を満たしている空き家は、3,000万円以内のまでの売却益であれば非課税になる」といった内容の「特別控除」を設置するなど、国としても空き家の増加は喫緊の課題とされております。
ついつい管理が疎かになる空き家は様々なリスクがあり、それらは保有期間が長期になるほど増大していきます。適時の管理を行う事が資産価値の下落とリスク低減につながります。一方、大切な資産ではありますが、リスクとコストを考えた上で、空き家を処分するのも1つの選択肢となり得るかもしれません。