【消費税増税】の影響

消費税増税の影響

2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられ、延期されていた10%への増税は2019年10月に実施される予定です。
住宅のご購入にあたり、どのような影響が出るのかを考えてみました。

1、適用基準

(1)旧税率の適用期限は売買契約日ではなく2019年9月30日までの引渡しが必要
もし、増税前の8%の消費税で住宅を購入したい場合、2019年9月30日までに不動産の「引渡し」を受ける必要があります。不動産売買契約日ではない事に注意して、余裕を持った計画を進めなくてはなりません。

(2)請負契約の契約期限は2019年9月30日(経過措置)
注文住宅等では完成時期が引渡しが2019年10月以降となっても、工事請負契約を2019年3月31日までに締結すると、消費税は8%が適用されます。

2、増税の影響

(1)建物にかかる価格が消費税増税に影響があります
① 売買価格
住宅を購入する際に消費税が課税されるのは、「建物」です。「土地」部分に消費税は課税されません。これは一戸建てでもマンションでも同じです。
また、一般的に消費税が課税されるのは新築ですが、売主が「課税事業者」の場合にも消費税が課税されますので注意が必要です。
※ 税額の変化
・対象価格2,000万円の場合、消費税は8%160万円 ⇒ 10%200万円(+40万円)
・対象価格2,500万円の場合、消費税は8%200万円 ⇒ 10%250万円(+50万円)
・対象価格3,000万円の場合、消費税は8%240万円 ⇒ 10%300万円(+60万円)

②仲介手数料
住宅を購入する際に不動産会社を介す場合、仲介手数料が必要となりますが、これも同様に増加します。
対象価格が400万円超の場合の仲介手数料は、「(売買価格×3%+6万円)×消費税」で簡易計算されます。
※手数料の変化
・売買価格2,000万円の場合、仲介手数料は  712,800円 ⇒   726,000円(+14,000円)
・売買価格3,000万円の場合、仲介手数料は1,036,800円 ⇒ 1,056,000円(+19,200円)
・売買価格5,000万円の場合、仲介手数料は1,684,800円 ⇒ 1,716,000円(+31,200円)

3、政府が掲げる税負担の緩和策

(1)所得税に関し「住宅ローン控除」
住宅を取得してから6ヶ月以内に入居し、その後も引き続き住み続けることで、入居した年から10年間にわたりローン残高の1%相当額が【所得税】から控除されます。結果、以後10年にわたり所得税や住民税の負担が大幅に軽減されます。
・一般住宅の場合 年末残高限度4,000万円、控除率1%、各年税額控除限度40万円
・認定住宅の場合 年末残高限度5,000万円、控除率1%、各年税額控除限度50万円
※認定長期優良住宅とは、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する、認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のものの新築又は建築後使用されたことのない住宅のことです。

(2)住民税に関し
平成21年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までに入居した人で、 所得税の住宅ローン控除の適用を受けた人で、所得税から控除しきれなかった控除額がある場合に、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を次の控除限度額の範囲内で控除します。
・控除限度額:所得税の課税総所得金額等×7%(最高13.65万円)
※住宅の対価の額または費用の額に含まれる消費税等の税率が8%または10%である場合。それ以外は所得税の課税総所得金額等×5%となります。

4、購入時期の考察

消費税増税前後における住宅のご購入は、消費税額だけを捉えると増税前の方が有利です。しかしながら、あくまで私見ですが、増税前の駆け込み需要が増加すると販売(請負)価格の圧縮は見込み難く、一方増税後の反動(需要低下)により、販売(請負)価格が落ち着く可能性も十分考えられるため、消費税だけを捉えて判断することはないとも考えられます。
また、中古住宅については、売主が消費税の課税対象事業者ではない「個人」である場合、もとから消費税は課税されません。従いまして、中古住宅を検討している場合は、むしろ増税後の価格の安定時期を見て求めることも選択肢の一つではないでしょうか。

5、大切なのは

消費税増税は、不動産のご購入を決める大きな要素となることを否定しませんが、不動産の取得には大きな出費を伴いますので、決して後悔することがあってはなりません。
大切なことは、ご購入のタイミングは外的な要因ではなく、それぞれのご家庭でのタイミングで判断することだ思います。
年齢・収入が同じだからといって、購入時期や投下資金等が同じであるはずがありません。家族構成・今後の中長期的ライフプラン等々はそれぞれ相違しており、大切なのは取得後も計画した生活設計が安定して推移していくためのタイミングに合わせることと考えます。